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小説・勉強会(61)【夏休みの宿題】メタ・メッセージ

2015年8月16日(日)晴れ

夏休みの最終日、吉祥寺駅から少し離れたところにある南国風カフェに集まった。七瀬、小林、十里崎、山木の4人。

「こんばんはー。山木さんは今日が夏休みの最終日ですかー」
「そうなんだよ。昨日まで北海道に車で行ってきたんだよ」
「車ですか」
「そうそう。子供の頃たくさん遊んでくれた従兄と45年ぶりに仙台で再会して、超タイムスリップの秋田の湯治場で一泊(約2900円)したり、男鹿半島の付け根あたりにある天王(てんのう)というところで北限のフグの刺身を650円で食べたり、寄り道しながら青森まで行ってさ、フェリーは高いから車は青森において、北海道に行ったんだー」
「へー、楽しそうだね!」と、大学時代の友人、小林が云う。

「えへへ。わくわく、ドキドキだったよ。行く先も事前に決めず行き当たりばったりの旅だったけど。お蔭様で最高リフレッシュしたよ(笑)」
「で、今日はどんな話を?」
「リフレッシュしたんで、少しだけいつもと毛色を変えた話をしたいんだ。でも、まずは、かんぱいだね!」
「おー、そうだな」
「かんぱーい」

「えーと、今年の夏休みは久しぶりに一週間続けてとれたので、【宿題】って感じで、少しかための本を読んだんだ(それほど難くないけど・・・)。で、それが素晴らしかったので、少々ご紹介ってところ」
「なんていう本ですか」と、若手イケメンメンバーの七瀬が訊く。

「内田樹さんの『街場の文体論』」
「あゝ、内田樹さんですか。好きですよね」
「そうなんだ。なかでもこの本は、大学での最終講義半年分をまとめたもので、未来を担う学生さんたちへの想いのこもった感動的
な内容なんだよ。それと、ぼくのブログでも内田さんの文章をいくつも転載させてもらってんるんだけど、この本にはそれらの文章に底流する【考え方の基本】がしっかり解説されていて有難いんだ。というか、その基本がわかったうえで、内田先生の文章を読まないと上すべりになる危険性があるなーという感じがしてさ、そういう意味もあって、この勉強会にとっても有益だと思うんだ」
「そーですか。良さそうですね」
「で、どんなところがいいの?」と、十里崎が訊く。
「いいところがいろいろあるんだけど、まずは、メタ・メッセージの重要性を強調したいんだ」

「ちょっとすみません。肝心なところに入る前に、えーと、今さらですが、初めてお目にかかると思うんですけど・・・」
と七瀬が云う。

「あー、十里崎とね。そうだったっけ・・・。小林とは何度も会ってるんもんな。じゃあ、名刺交換でもするかい」
「えーと、ジュウリサキさんと読むんですか」
「トリサキです」

「ぴゃーし!!」
「えっ、今の、ぴゃーしってなんですか」
「あ、若い人は気にしなくていいんだよ」
「そ、そうですか」

「十里崎は中学から剣道部で一緒だったんだ」
「へー。山木さんって、どんな中学生だったんですか」
「普段ふざけてんだけど、ホントは、くそまじめな奴なんだよ。結婚できって良かったとホントに思ったんだよ。結婚式の日にさ」
「へー! 面白そう。もっときかせてくださいよ」
「いやいや、それは後でさ・・・」

「話をもとに戻すと、内田さんの本から引用すると、メタ・メッセージとは以下の通りなんだ」

「メタ・メッセージ」というのは「メッセージの読み方を支持するメッセージ」のことです。メッセージそのものは聞き落したり、誤解したりしても構わない。でも、メタ・メッセージは絶対に聞き落しても、誤解してもいけない。それは死活的に重要な情報だからです」(P164)

「それで?」
「まー、僕は例によって、本の一番大事なところは紹介しないんだけど、もう少し引用するよ」

「母親が赤ちゃんを抱きしめながら、語りかける言葉はさまざまですけど、その究極のメタ・メッセージは一つです。それは、『あなたがいて、私はうれしい』です。それに対して赤ちゃんもまた同じメタ・メッセージを返す。この鏡像的なメッセージのやりとりによって、親と子は相互に承認を行っています」(P179)

「ん・・・、なんとなくわかってきました」
「それは良かった。ちなみに、ウィキペディアによると、『メタ』とは下記の通り」

「メタ(meta-)とは、「高次な-」「超-」「-間の」「-を含んだ」「-の後ろの」等の意味の接頭語。ギリシア語から。
例えば物質界の現象を超越した世界を取り扱う学問を「形而上学」というが、これは英語でmetaphysicsであり、physics(物理学)の後の学問として存在する」

「なるほど。ということは、本の一番大事なところは紹介しないって云う山木さんの方針は、自分で読めっていう、メタ・メッセージなんですね!」
「それが、勉強会の夏休みの宿題ってこと?!」

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COMMENTS

No title

とてもアトラクティブな奥さまと結婚できて、おめでとうございます。強い光を放つ方ですね。ホントですよ(笑)

あはは2

いつもの文章と少し違って、面白いよ。(会ったことないが)十里崎は、きっとピュアで馬鹿な奴だろう。でも、嫌いじゃないよ(笑)

No title

平成27年8月15日 
 終戦記念日、いや代ゼミの白井先生(赤井先生、歴史)によれば敗戦記念日、それはそうだ、そっちが正しい。君と久しぶりに口論になり、先に君は寝てしまった。まあいいや、生きているんだから。お父さんが死んでしまったら、叱ることも出来ない。生きている内は、叱りまくるぞ!
 そして、今年の安倍大先輩の談話。上っ面を読めば、正直言うと、良かった、と思うんです。平均的な日本人の感覚を言葉にした、と思う。特に、日露戦争について「欧米列強に苦しめられていたアジアの各民族の励みになったはず」という趣旨は「白人たちよ、君たちにだけは我々日本人が批判される覚えはない」と常々思ってきた父にはとても納得がいく部分だった。逆に、絶対的に惜しむらくは、というより「それが無いからこの文章は零点だね」と思うのは、どうせなら(100点取ってほしかったから)、安倍個人を主語として植民地支配について謝罪の弁を入れれば、完璧だった。今回、安倍先輩自身が身を挺して誠実に謝罪してから「次世代に謝罪外交を続けさせたくないから我が国は絶対にこれからも誠意ある平和国家運営を行います」という表現であったなら、次の首相の談話から謝罪の弁は要らなくなったのに。とても惜しい、安倍先輩、その誠実な謝罪がないから(謝罪する気が無いからかな?)、評価が零点か100点かのお人柄、残念ですが本日現在、良い役で歴史に残れる可能性はゼロだと感じる、逆に、このままでは超悪役で歴史に残るような気がして心配です。愚かな後輩より。

No title

小林さん!
トリさん!
コメントありがとう!!

なんだか、小説と現実の区別がつかなくなってきたよ(笑)

我がまもりがみに感謝!

誤字訂正

肝心なところに誤りがありました。お詫びして訂正します。

(誤)「メタ・メッセージ」というのは「メッセージの読み方を支持するメッセージ」のことです

(訂正)上記の「支持」→「指示」

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